ゲーミングPCの静音化設定について、テンプレート化を目指し記事を残していきます。
今回はグラフィックボードのファン設定について、おすすめの回転数とMSI Afterburnerを用いた設定方法をご紹介します。
グラボのファン設定の流れ
- 最高温度を設定する
- アイドル時・高負荷時・最高温度付近の回転数を考える
- ファンカーブを設定する
最高温度(温度上限)を設定
サーマルスロットリングを発生させる
温度上限をMSI Afterburnerで設定し、その上限を超えないように自動で電圧・クロック数の調整がされるようにします(サーマルスロットリング)。
上限にする温度は85℃前後が基本
RTXシリーズの最大GPU温度は90℃ほどとなっています。メーカーサイトで性能をご確認のうえ、そこから余裕を持った設定をしましょう。
現行世代と前世代の GeForce シリーズのグラフィックス カードの比較 | NVIDIA(外部サイト)
MSI Afterburnerで設定

MSI AfterburnerのTemp Limitに85℃を設定します。
ソフトをインストールした時点で設定されているのはPower Limitと連動した値です。
Linkボタンを押してTemp LimitとPower Limitの連動を解除し、Temp Limitに85℃前後を設定しましょう。
推奨の回転数設定は?
- 40℃ 最低回転数
- 70℃ ベンチマーク時のファン回転数
- 80℃ 最高回転数
- セミファンレスの設定はお好み
アイドル時に室温+10℃をキープ
発熱の少ないときにファンを全開にしていても、GPU温度は室温と同じにはならず、室温+5℃~10℃ほどまでしか下がりません。
ファンの回転数を設定する際は、真夏の室温30℃に+10℃した40℃から、回転数を上げ始めるように調整することがおすすめです。
アイドル時、ファンでの冷却が間に合っているのに、過剰に回転数を上げなくて済みます。
ベンチマーク時の温度を目安に調整
FINAL FANTASY XV BENCHMARK時の最高回転数を、70℃のときに出せるようファン設定をします。
ベンチマークや、回転数を確認するMSI Afterburnerの操作は下記の記事をご参照ください。
(この後の設定ではファンの回転速度をRPMではなく%で指定します。)
このベンチマークが約6分30秒で終了するのに対し、実際の作業やプレイは数時間に及ぶこともあります。
ケース内の温度が次第に高まることを考えて、温度上限よりは手前のタイミングに設定しましょう。
ループ再生で長時間のベンチマークを行うことも可能ですが、あまりおすすめしません…
数ヶ月もすれば室温の変化やホコリの影響で最適な値が変わるので、ベンチマークに基づいてファン設定を詰める価値は大きくないと思います。
この記事の推奨では40℃の最低回転数・80℃の最高回転数を固定する形をとっているため、ベンチマーク時の最高回転数を何℃に設定するかが好みに合わせて調整可能な部分です。
最高温度-5℃でファンを全開にする
ファン設定において、指定した温度はあくまで「ファンの動作を変えるタイミング」です。
ファンが100%で動作していても、温度はその指定以上に上昇しますから、最高温度より-5℃の時点ではファンを全開にするよう設定しておきます。
セミファンレスの設定はお好みで
セミファンレス機能が搭載されたグラフィックボードでは、設定した温度以下でファンを停止することができます。
非常に高い静音性を期待できる一方、アイドル時のGPU温度が高くなるため、ユーザー間でも好みが分かれるところです。
セミファンレス機能を使用する際も自然に40℃くらいまで温度が上がるので、+10℃以上タイミングに余裕を持たせた方が、ファンのON・OFFでうるさくなる瞬間を減らせます。
私の設定3パターン
私のおすすめは「リア側のファンだけ最低回転数で動作、あとは停止する」セミセミファンレス設定(私の造語)です。
グラフィックボードにセミファンレス機能が搭載されており、MSI Afterburnerでファン設定が2組以上扱える場合に使用可能な設定です。
セミファンレスについて私が実際使用している3パターンがこちらになります。
- セミファンレスなし → 40℃まで最低回転数
- セミファンレスあり → 50℃まで停止(50℃で最低回転数)
- セミセミファンレス → 40℃まで最低回転数 + 40℃まで停止(40℃で最低回転数)
MSI Afterburnerのオプションでセミファンレス化できる場合があるので、グラフィックボードの搭載機能がわからない場合も一通り試してみてください。
MSI Afterburnerでの設定方法
パネルでの確認

グラフィックボードによって表示は異なりますが、存在しているボタンについてを以下のようになっていることを確認してください。
(ファンスピード付近)
- 手動ではなく自動になっている
- fansyncがオフになっている
ファンカーブを調整
「Settings」もしくは「歯車のアイコン」からMSIアフターバーナーのプロパティを開き、「ファン」のタブで操作を行います。
まずは自動ファン制御プロパティの「ユーザー定義ソフトウェアによる自動ファン制御を有効にする」をチェックしましょう。

グラフの横軸が温度℃、縦軸が回転速度%で、横に引かれた点線が最低回転速度%です。
なにもないところをダブルクリックすると曲線が階段状になります。今回の記事では推奨していないので、もう一度ダブルクリックして戻してください。
曲線をクリックすることでノードを追加できます。このノードをドラッグで動かして、以下の位置に置きましょう。不要なノードはクリックで選択後Deleteキーで消せます。
セミファンレスなし

- 温度0℃ → 回転速度0%
- 温度0℃ → 最低回転速度
- 温度40℃ → 最低回転速度
- 温度70℃ → ベンチマーク時のファン回転速度
- 温度80℃ → 回転速度100%
セミファンレスあり
(画像はセミセミファンレス設定のもので、温度40℃が境になっています。)

- 温度0℃ → 回転速度0%
- 温度50℃ → 回転速度0%
- 温度50℃ → 最低回転速度
- 温度70℃ → ベンチマーク時のファン回転速度
- 温度80℃ → 回転速度100%
グラフ左上にFan1・Fan2と表示されている場合、グラボにあるファンが2グループに別れており、それぞれ設定をすることができます。
セミセミファンレス設定をされる方は、リア側の片方をセミファンレスで設定してください。
オプションを追加
グラフより下にある2つのオプションにチェックを入れます。

- Force fan speed update on each period
- Override zero fan speed with hardware curve
ざっくりいうと前者が更新間隔(ミリ秒)のたびファン速度を設定し直す設定、後者がハードの最低回転数を無視してファンを止める設定です。
最低回転数付近、特にファンレス動作が安定します。これらのオプションでグラフィックボードがセミファンレス化できることがあります。
ここまでできたら適用・OKをクリックして一度プロパティを閉じます。
PC起動時に温度上限・ファン設定を適用する
Temp Limitを操作した場合、作成した設定はプロファイルに保存します。操作パネルからプロファイルのロックを外し、保存ボタン→保存したいプロファイル番号を選択して保存してください。(操作パネル下の保存ボタンならびに右のプロファイル一覧)
PC起動時にMSI Afterburnerを起動するように設定
もう一度プロパティ画面から、全般的なプロパティの、Windowsと一緒に起動・最小化の状態で起動にチェックを入れてください。
更に先程保存したプロファイルを自動で読み込むために、「プロファイル」タブから、自動プロファイル管理を設定してOKを押します。
現在何も設定していない場合は2Dプロファイル・3Dプロファイル両方に保存したプロファイルを設定して構いません。
ここまでできたら適用・OKをクリックして一度プロパティを閉じます。
以上ファン設定でした。
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